〜〜「最後のスカG保存会」とは〜〜
「最後のスカG保存会」とは
「最後のスカG保存会」とは、日産スカイラインR34型4ドアセダン限定のオーナーズクラブである。

「R34」「スカG」とは
R34とは1998年〜2001年にかけて生産されたスカイラインの型式である。
R34から見ると、先代はR33 後継はV35ということになる。

R34型にはまず、基準車とGT-Rという2種類が存在する。
さらに基準車の中には、2ドアクーペと4ドアセダンの2種類が存在し、我々が「最後のスカG」 と称しているのは、その4ドアセダンの事である。

では、GT-Rや基準車の2ドアクーペが「スカG」ではないのか?
と思われるかもしれないが、けっしてそんな事はない。それらも立派な 「スカG」である事に間違いはない。

そもそも「スカG」とは、スカイラインGTの略称であり、6気筒エンジンを搭載し ロングノーズ化されたスカイラインのニックネームであった。

しかし、そのニックネームの対象も時代と共に変化してきた。
C210型(通称ジャパン)迄は、4気筒エンジン搭載でショートノーズ・角テールのTIグレードが存在し、 6気筒エンジン搭載でロングノーズ・丸テールのGTグレードと区別されていたため、 スカGというニックネームは後者の事を指していた。

「全グレードロングノーズ化」
R30型R31型では4気筒モデルもボディーがGTと共通になりロングノーズ化されたものの、 丸テールが奢られる事は無く、角テールであった。
なお、R30型では4気筒ツインカムエンジン搭載のRSが設定され、 排ガス規制で消えたS20エンジン以来のツインカムヘッドで、6気筒ターボを 凌ぐパワーを発揮し「史上最強のスカイライン」と讃えられ、R30型のフラッグシップグレードとして REDエンブレムに丸テールのデザインであった。

このRSの登場により、6気筒エンジン搭載の上級グレードを指す「スカG」というニックネームに 変化が現れてきた。GTより、RSの方が上級グレードに位置付けられたからである。

さらに時代は流れ、R32型では4気筒エンジン搭載車はGxiと呼ばれ、ついには丸テールを 与えられGTとの見分けはマニアでなければわからないようになっていた。

「全グレード6気筒エンジン搭載」
R33型では、4気筒エンジンそのものが廃止され全グレード6気筒エンジンとなり、 上級グレードを指していたニックネームの「スカG」が完全に宙に浮く事になった。

ニックネーム「スカGの復活」
しかし、この「スカG」という覚えやすくてインパクトのあるニックネームを無くしてしまうのは 忍びがたい。とメーカーが思ったのかどうかはわからないが、R34型の後期用カタログで「スカG」のニックネームが復活した。
それは、スカイラインの原点である4ドアセダンのニックネームとして。
なお、R34型は全グレード6気筒ツインカムエンジン搭載で、排気量は2000cc・2500cc・2500ccターボのラインアップとなり、 どのグレードを指しても「スカG」と呼ぶに恥じないスペックとなった。
更に、熟成を重ねたRBエンジン・マルチリンクサスペンションや徹底的に鍛え上げられた高剛性ボディーに加え、 C10型(通称ハコスカ)を彷彿させるウイング形状のリヤスポイラー・C110(通称ケンメリ)以来となる大小異形丸テール ・DR30(通称鉄仮面)のようなグリルレスマスク等々、意欲的なデザインで登場したR34型であったが、 それらは全て新しみが無く逆に古くさいと評価され、お世辞にも販売面では成功したとはいえないモデルであった。

「生まれ変わり」
折しもこの時期、メーカーの日産自動車(株)は経営不振に喘いでおり、世界戦略車(ターゲットは北米)の 開発・販売へとSHIFTしようというまさにそのタイミングだった為、売れないスカイライン(R34型)は 4年間のモデルチェンジサイクルを待たずにとっとと切り捨てて、丁度出来上がった車(XVL)を 次世代スカイライン(V35)として販売する事となった。
当初よりスカイラインとして開発された車ではないため、当然無理が生じ、スカイラインらしくないと言われるのは必至だった。
そこで、「スカイラインは過去の伝統やしがらみは全て捨て去り、生まれ変わった。」とのキャッチフレーズでデビューした事は記憶に新しい。

「捨てられた物」
では何が捨てられ、何が生まれ変わったのか?

・エンジンはコンパクトに収まるよう 直6→V6へと変化した。
 これにより、低振動でスムーズな吹け上がりと定評のあったRBエンジンが捨てられた。
 それに伴い、スカGの特徴でもあったロングノーズも姿を消した。

・居住空間を確保するために延ばされたホイールベース。
 これにより、今まで培ってきたリヤの追従性が犠牲になった。
 それに伴い、機敏な走りを予感させるショートデッキスタイルも姿を消した。

・ボディーサイズが増大し、豪華装備まで身にまとい、増えすぎた車体重量。
 これにより、コーナリング特性が大幅に犠牲となった。
 それに伴い、コーナーを軽やかにクリアするスカイライン本来の持ち味が姿を消した。

※丸テールやGTバッヂなどは、スカイラインを象徴するアイデンティティーの一つであって、 「スカイラインらしさ」とは別物だと考えるのでここでは触れない事にする。

「新たに生まれた物」
そして、何かを犠牲にすれば当然別の何かが生まれる訳でここで生まれた物とは、

・コンパクトなV6エンジンによってFMレイアウトと呼ばれる新プラットホーム。

・シーマに匹敵するロングホイールベースから生まれる広い居住空間。

・ロングホイールベースによる高速走行時の直進安定性。

・電動パワーシートや後席用のエアコン吹き出し口等の豪華快適装備。


「名車スカイライン」
さて、プリンス自動車工業によって生み出された名車スカイライン。
初代ALSIはその後グロリアへと移行して行ったため、実質的には桜井眞一郎氏主管によるS50型スカイライン発売の 1963年から数えても40年以上。
その間、多くのスカイラインファンを生み出し続けてきたため、それぞれの持つスカイライン像に 個人差が生じるのは当然の事である。

我々は、R34に象徴されるような硬派な部分。つまり、V35へのモデルチェンジによって捨て去られて しまった部分に、最も「スカイラインらしさ」を感じている。

逆に、V35へのモデルチェンジによって得られた部分に「スカイラインらしさ」を感じる方が おられるのも事実である。それを否定しようなどとは思ってはいない。

ただ、このクラブは単に車種型式を限定しただけのクラブでは無く、モデルチェンジによって 捨て去られた部分に 最も「スカイラインらしさ」を感じている 我々の強い思いを込めて、また、 R34型後期用カタログにて復活しつつも直ぐに捨てられてしまったニックネーム「スカG」を大切にするため、クラブ名を 「最後のスカG保存会」 とし、一人でも多くのR34型4ドアセダンオーナーがこの車と末永く付き合えるための情報交換の場として2001年に設立された。


2007/3/13 オフィシャルスタッフ一同
日産自動車(株)R34後期カタログより  .
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